冬にまつわるエトセトラ

冬のイベント、冬に役立つもの、冬の不便を解消・・・とにかく冬を乗り切ろう♪

ちょっと香ばしい煮豆の味の正体は

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実家の話です。

実家の母は料理が得意な上、割と厳格な両親に育てられたせいもあってか必ずおせちは必ず手作りでした。

なので、大晦日は朝から家中がおいしい匂いに満ちていたの覚えています。

母が特に好きだったのは紅白の煮豆です。

赤は金時豆、白は白花豆を使って甘く煮たのが母の定番でした。

 

煮豆は前の日から水に浸ける、何度も茹でこぼして水を替える、などの手間がかかる料理ですよね。

母から毎年「作り方を見ておきなさい」と教えられたのですが、私はそれ程甘い豆に執着ないので自分で作ることはありません。

それでも、この母の煮豆作りをよく覚えているのには訳があります。

母、大好物のくせに必ずこの豆を焦がすのです。

煮豆は何度も茹でこぼして水を替えて結構な時間をかけて煮るので、ずっとつきっきりで見ておくとはいかない料理です。

時は大晦日、家の中は大掃除だの年末特番の録画だのと大騒ぎの一日です。

母は家族の舵を取りながらの料理となるので時に台所の事を忘れてしまうことも。

 


見張り番として私が呼ばれることも多かったのですが、なぜか煮豆の時に限って誰も見張り番がいない、ということが何年か続いた事があり、そういう年は必ず焦がすのです。

おいしい匂いの中に不穏な匂いが混じり始めた時にはすでに遅し。

慌てて台所の鍋に向かうと水が蒸発しきって焦げ始めた豆が「プスプス」言い始めている、という惨劇を目にする羽目に。

さすがにまる焦げになるまで放置する事はないので、大半が「今焦げ始めましよん」という程度で発見するので焦げたモノだけ捨てて無事だった豆はおせちとしてお正月の食卓に上がるのですが、甘い味の奥にほのかな香ばしさがあるよね、という我が家独特の味がしたものです。

料理の腕にお映えのある(はずの)母。

最初に焦がした年は落ち込みました。

ですが、2年、3年と続くと「これが我が家の味よね。

一回焦がすのがうちの秘伝の技よ」と面白そうに笑っていました。

 

私も母に習っておせちはなるべく手作りを心がけています。

品数は多くはありませんが母に教わった味を大晦日に仕込みます。

ただ、煮豆に関しては甘い煮豆をそれ程好まないので少量で事足りるということと、作る手間がかかる、という理由で自分で作ることはありません。

それに、一度焦がす、という母の秘伝は焦し加減がとても難しい高度(?)な技なので再現するのが至難の業でもあるのです。

 

余談ですが、最近の母焦さなくなりました。

私たち兄弟がそれぞれ巣立ち、大晦日に大騒動をしながらおせちを作り、大掃除をするこもなくなった今はずっと台所で見張りながら煮込むことができるようになったのだとか。

あの、ちょっと香ばしい煮豆の味は実家が賑わっていた時代にしか存在できない味だったのかな、と最近はしみじみ思うようになりました。

 

料理のセンスがイマイチの姉は実家近くに住んでいることもあり、今でもおせちは母頼み。

男の兄弟はすっかり嫁の味。

私は母譲りで作るとはいえ、子供ができなかったので母のおせちを受け継ぐのは私で終わり、ということになるのかなと思います。

今年の年末は初めて煮豆に挑戦、というのも悪くはないかもしれませんね。